NHK大河ドラマ「いだてん」2019年

昨年11月、NHK大河ドラマ「いだてん」に犬養毅首相の役でとのオファーがきた。

宮藤官九郎さんの脚本、6年前にやったあの朝ドラ「あまちゃん」のメインのスタッフクルーだ。この身体で皆に逢えた。やはり、ある感慨があった。

本番前日のリハーサル。P訓覇、D井上、桑野、一木、大根諸氏。俳優は、主役である阿部サダヲさん、高橋是清役の萩原健一さん、犬養毅役の私の三人。

気の入ったリハーサルだった。萩原さんは昔、神代辰巳監督の映画でご一緒したことがあった。リハーサルでの彼は、監督達との打合せは念入りで、その度に台本にキッチリと何かを書き込んでおられた。次の日の本番、宮藤さんの世界を知り尽くした阿部さんに私は任せた。萩原さんには何とも言えない色気があった。

残りのシーンは年が明けて今年の撮影であった。私の回は資料も残っている宰相・犬養毅であり、桑野君の演出で上手くリードしてもらった。本番中はセットに井上Dも居てくれて見守っていてくれ、メイクの馬場さん、カメラの佐々木さん、衣裳は私の映画デビュー時の宮本まさ江さん。皆の気を吹き込んでもらい何とか精一杯を出せたと思う。宮藤さんの書かれた「いだてん」の中で犬養毅という人の輪郭に迫れることが出来たと思う。

さすがに、私のラストシーンが撮了した時は胸が締め付けられ少し泣いた。宮藤官九郎さんのクオリティのある良い作品を作っている気概と、物語というものに立ち向かう姿勢、ガッツにあふれた、「あまちゃん」の時と変わらずカッケースタッフだった。

そして、ご一緒した萩原健一さんのご冥福を心から祈る。