先日、NHKFMのオーディオラジオドラマを演り、録った。ラジオドラマの仕事はまるっきり初めてといえる。もちろん、オーディオの仕事をやらなかったのには、私なりの理由と考えがあり確信的であった。それが何故⁈
演出の真銅さんは30年位前に印象的なドラマでご一緒していて、彼がこの世界で頑張っていたのは当然知っていた。仕事を通してお互いに逢いたいなという気持があり、そして滝本祥生さんの脚本が、映画の隅っこにいる役者である祖父と孫娘の日常がリリックに説明的でなく書かれていて、ストレートに今の自分の気持がのせられた。70歳にしてラジオドラマへの冒険で、潰れた声をもってマイクに向かった。結果はわからないけれど、相手の若い女優さん二人にうまく引っ張られる形で、スタッフの周到なメカのお陰で、私なりのニュアンスというかタッチは出たかなと思う。私はこの新しい世界に紛れ込み、充実した気持ちの良い時間を過ごすことができて、自分の長い俳優としてのキャリアに一本のラジオドラマというものが加わり、嬉しいなというシンプルな感慨が残った。