3月1日、3回目のワクチン接種を受ける。前の2回は東京だったので築地の聖路加国際病院のワクチンセンターにて、多人数がシステム化され流れるように接種は終わった。
今回は引っ越した横浜で、近所の個人医院で受けた。昔からある医院である。予約の時間には10人くらいの人たち、女性の高齢者が多かった。私にとってはおそらく子供の時以来何回くらいあったろうか、靴を脱いで上がりスリッパを履くような医院である。しかし待合室は広く清潔感があった。
私は足の不具合があり、杖をついて上がると、皆さん高齢であるにもかかわらず席を譲ろうとしてくださった。有り難かったが躊躇していると、看護師さんが椅子を出してくださり、座って順番を待つことができたので「気を遣ってくださり有難うございます」と声にしてお礼を言った。皆さんも安堵なさったのか笑顔を返された。
直ぐに接種も終わり、待合室でマスクと各人距離を保ち10分くらい安静にしていると、隣のご老婦人が、「2回と言っていたのに3回目、これでは4回目なんてまた言われるかもね…」と少し笑いながら、私に囁くように言われた。私も「ですよね…」と苦笑いで応えた。この方はきっと家族から、またはテレビの情報等で3回目の接種に来られたのだろうが「何もかもご存知なのであろう」と思った。この感染症の対策についても。
急に外は曇り始め、皆さんと一緒にバスの時間表を確かめあって医院の前のバス停まで行った。お年寄りの皆さんは静かに穏やかで、帰り際、靴を履く私を待ってもいてくださった。
深刻な感染症の拡がりというシリアスな事態の日々の中で、私には人の温もりが感じられたワクチン接種の一日であった。その夜のニュースでは東京の効率化された大規模な接種会場が映されていた。そしてこの状況のなかで東京マラソンを実行するという…。
副作用なのか夜半にかけて少し肩の痛みを感じながら、この2年続く感染症が、withコロナなどでなく何とか早く治まって皆が普通の日常をおくれることを願い祈った。