ラジオドラマに生きてみた。

先日、私の書いた脚本のドラマの収録があった。
私の作業としての役割はもう何もないのですが、紙の上に勝手に思うままに書き込んだ登場人物が、この日は俳優さん達の力で立ち上がり、命を吹き込まれる。その奇跡のような瞬間を信じ、そして感じたくて、スタジオの隅で息を殺して、聴き、眺めていた。
自分自身が俳優という生業で生きてきたのに、俳優さんたちの役へのアプローチが凄くて、恥ずかしながら胸が詰まって熱いものが込み上げて、素晴らしい時間を過ごし、このような経験できたことに感謝しかない収録の一日であった。
力のある素敵な俳優さん達がこの私の拙作に集結してくださり、スタッフさんたちと共に軽々と脚本というものを超えて、広がりと深みのある作品にしてくださった。

もうすぐこのラジオドラマの情報が解禁されますので、愉しみにお待ちくださいませ。

収録の翌日は春の嵐で天気は荒れていましたが、私の気持ちは、この歳になってまたひとつの新しい分野の仕事を成し遂げられたという、若い頃に壁を越える度に感じたような清々しいものであった。

NHK-FMシアター「あの日々たちよ〜詩劇としての」 6月11日(土)午後22時〜放送

book&writing「ラジオドラマを聞いてみよう」