今から半世紀ほど前、1972年、私はバックパッカーとしてロンドンを旅していた。
ある映画館(たぶんピカデリーサーカスあたり)だったと思うが、「日本映画の特集」で黒澤明監督の「椿三十郎」がかかっていて観に行った。
映画の中で「あなたはお幾つですか?」と問われ、三船敏郎の三十郎が「三十で、もうすぐ四十郎だが」と答えるシーンがあり、日本語だと笑えるところだが英語字幕だと「forty」となり、おかしみがでない。字幕って難しいなと思ったのだった。
この映画では三船三十郎の敵役として仲代達矢さんが出ているのだが、彼がスクリーンに現れると観客からは「タイガー!タイガー!」の掛け声がかかって、仲代さんはイギリスではタイガーとして認知されていたので驚いたのだった。仲代さんの訃報に、こんなエピソードを思い出したのだ。