書評03『見えない音、聴こえない絵』大竹伸朗著/『異郷の陽だまり』野見山暁治著
『サンデー毎日』「遠回りの読書」から(2023年2月12日号掲載) 2006年10月、東京都現代美術館での「大竹伸朗全景1955―2006」展。観に来ていた人たちはまるで別の世界に誘われたようにみんな興奮していた。屋上に...
『サンデー毎日』「遠回りの読書」から(2023年2月12日号掲載) 2006年10月、東京都現代美術館での「大竹伸朗全景1955―2006」展。観に来ていた人たちはまるで別の世界に誘われたようにみんな興奮していた。屋上に...
『サンデー毎日』「遠回りの読書」から(2022年12月11日号掲載) 薄暗闇の中、窓からは人工の灯りが差し込む、ディレクターの声が聞こえる。「カメラ回りました」、私は頷く。「スタート」、恐らくカメラ(ビデオ)の回ったスタ...
『サンデー毎日』「遠回りの読書」から(2022年10月16・23日合併号掲載) 私の前から本、書籍、物語が消えた半年がある。今から8年前のある日、突然身体に異変をきたし、生命はあったが元の自分に戻れない、仕事どころか日常...
「校了しました……」筑摩書房のKさんから連絡が入った。梅雨の頃、ちくま文庫から拙作を文庫で出すことが決まって、今年の夏は編集者のOさんと三人で何度も打ち合わせながら丁寧に加筆改訂を繰り返し、新しく蘇ったエッセイ『歌うよう...
地域猫のクロネコ君(ウチでは黒ゴマと名付けている)が庭先に顔を出すようになって半年になる。その間、母屋に住む義妹が決まった時間に毎日のように餌(煮干しの頭)をあげていると次第に懐いてきたようであり、その動向が可愛くて、妻...
NHKの朝ドラ「あまちゃん」は2013年4月放送開始である。それに先立ち、私は「琥珀の勉さん」の中の人として、前年、2012年の10月後半に岩手県久慈市(ドラマの北三陸市)のロケ現場に合流した。丁度その時期、出演した北野...
三谷昇さんが亡くなられた……。私の部屋の本棚には、あなたが出演された映画(「おろしや国酔夢譚」)の海外ロケの時に、お土産で頂いたドン・キホーテの木彫りの置物、そして壁には、私の結婚祝いに描いてくださった絵がかかっています...
1月の半ばに一つ歳を重ねました。毎年この日は家で静かにしているのだが、今年は街に出て馬車道にあるS園のワンタン麺が無性に食べたくて、家族で出かけました。昔と少しも変わらない店内。細麺で少し硬め、まず思い切りズズーと口いっ...